【症例の紹介】
膝・股関節の症状
転倒などをした際に膝を地面に打ち付けてしまい膝がしらを痛めてしまう事があります。打撲と思いがちですが、膝のお皿が骨折している事が稀にあります。
お皿は太腿の前面の筋と膝蓋腱を上下につなぐ分厚い腱膜で覆われていて骨折をしていても骨片が大きく遊離する事は少なく、よほど大きな外力が加わらない限り発生しないです。
徒手検査ではDreyer's Testを行いますが信頼性の高いテストではなく、やはり画像による診断が第1選択となります。当院でもエコーによる確認をしますが確定診断には整形外科にてレントゲンをとられることをおすすめします。
ただ、よく似た映像に分裂膝蓋骨があり鑑別が必要です。分裂膝蓋骨は生まれつきの過剰骨や融合せずに遊離した骨片が存在した状態です。この器質的な状態は変わらず痛みが発生すると有痛性分裂膝蓋骨と呼ばれます。特に、思春期の男子が外側上部に痛みを訴える事が多いです。
分裂膝蓋骨は両側に存在することが多いので、反対側との比較も大切です。
例えば
膝をぶつけた
↓
レントゲンを片側だけとった
↓
骨片があった
↓
骨折してる
(でも実は、過剰骨だった)
なんてならないように反対側も観察対象にするべきだと思います。
●膝蓋骨骨折のエコー画像です。お皿の表面に亀裂が確認できます。
また、その上(皮下)に黒く出血による血腫と白くモヤモヤした浮腫があります。
●私的考察ですが骨折の場合、この様な血腫と浮腫がセットである事が多いと思います。
●分裂膝蓋骨のエコー画像です。両側にお皿の表面に分離した映像が確認できますが、ゴツゴツしたように見え骨折線ないことがわかります。
●骨の表面皮下組織には皮下溢血や浮腫の存在はありません。